| ZCG |
| 女性向け二次創作小説置き場。 初回【About】必読です。 |
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
闇の中でリンの白い手がひらりひらりと揺れる。
オレを呼ぶように上下する指先。
射抜く眼の力が強すぎて、俺はこの目にいつだって逆らえない。
「ドア、閉めて」
リンに言われるままに後ろ手でドアを閉めると部屋の中は途端に真っ暗になった。
床に散らばった漫画や雑誌を踏まないように歩きながら恐る恐る声をかける。
「リン何かあった?また暴れたんだろ」
言った瞬間に足の裏に痛みが走ってリンが放り投げたんだろうCDを踏みつけたことを知った。
リンを刺激しないようにゆっくりゆっくり近づく。
こんな風に、時々、リンは手のつけようがないくらいに癇癪を起こすことがある。
マスターにまで八つ当たりするをするリンを宥めるのはいつもオレの役目だった。
リンは二段ベッドの下の段で膝を抱えて傷ついた獣みたいに丸くなっていた。
俯いた顔を覗き込むと、うつろな目で視線を彷徨わせていた。
何て声を掛けようか、と思案しているうちにリンが息を吸い込んだ。
「ねえ、レン、あたし考えたんだけど」
リンは視線を床に向けたまま徐に口を開く。
ここで余計な口を挟もうものなら容赦なく攻撃が飛んでくるから、オレは静かに続きを待つ。
「どうしてあたしたちは離れて生まれちゃったのかな、」
「あたしとレン、どうしてひとつのままでいられなかったのかな」
「レン、レン、ねえ、レン。」
「どうして?」
ゆっくりと顔を上げる。上向いた瞳が揺れている。
カクン、と糸が切れるように首を傾げた。
答えに詰まって息を呑んだ。
暗がりでリンが唇を湿らせてまた喋る。
「あたし、レンがいないと嫌なの」
「わかるでしょ?」
「レンがいっしょにいてくれないと嫌なの、いつでも、どこでも」
「いっしょじゃないと、嫌なの」
リンは繰り返し呟いてひっそりと溜息を零と口を紡ぐ。
俺たちの間に漂う無言の空間。
耳が痛くなるような静寂を破ったのはオレだった。
「・・・いっしょにいるじゃん。リンがそう願わなくても、オレはいつもいっしょにいるじゃん」
次の台詞のために一つ呼吸をおき、大きく息を吸い込む。
「リンは何が不満なの?何を望んでるの、オレに」
一息に言いきったつもりが情けないことに最後の方は掠れてしまった。
リンは両方の目をゆっくりと大きく見開いていく。
聞いちゃいけないこと、言っちゃいけないことだっていうのはわかってた。
いつもみたいに黙ってリンの言うことにいちいち頷いて、リンが泣き疲れて(もしくは怒り疲れて)眠るのを待ってればよかったんだ。
そうすれば嵐は収まって束の間の平穏が訪れる。
束の間の、偽物の平穏。
この時に気付かない振りをしていれば、あんなことにはならなかったのに。
オレたちは少しずつ歪んでいく日常に毒されながら、それでも許されない間違いだけは犯さずに生き延びれたかもしれないのに。
だけど、オレは聞いてしまった。
「リンは何を望んでるの」
オレたちの罪はここから始まる。
オレを呼ぶように上下する指先。
射抜く眼の力が強すぎて、俺はこの目にいつだって逆らえない。
「ドア、閉めて」
リンに言われるままに後ろ手でドアを閉めると部屋の中は途端に真っ暗になった。
床に散らばった漫画や雑誌を踏まないように歩きながら恐る恐る声をかける。
「リン何かあった?また暴れたんだろ」
言った瞬間に足の裏に痛みが走ってリンが放り投げたんだろうCDを踏みつけたことを知った。
リンを刺激しないようにゆっくりゆっくり近づく。
こんな風に、時々、リンは手のつけようがないくらいに癇癪を起こすことがある。
マスターにまで八つ当たりするをするリンを宥めるのはいつもオレの役目だった。
リンは二段ベッドの下の段で膝を抱えて傷ついた獣みたいに丸くなっていた。
俯いた顔を覗き込むと、うつろな目で視線を彷徨わせていた。
何て声を掛けようか、と思案しているうちにリンが息を吸い込んだ。
「ねえ、レン、あたし考えたんだけど」
リンは視線を床に向けたまま徐に口を開く。
ここで余計な口を挟もうものなら容赦なく攻撃が飛んでくるから、オレは静かに続きを待つ。
「どうしてあたしたちは離れて生まれちゃったのかな、」
「あたしとレン、どうしてひとつのままでいられなかったのかな」
「レン、レン、ねえ、レン。」
「どうして?」
ゆっくりと顔を上げる。上向いた瞳が揺れている。
カクン、と糸が切れるように首を傾げた。
答えに詰まって息を呑んだ。
暗がりでリンが唇を湿らせてまた喋る。
「あたし、レンがいないと嫌なの」
「わかるでしょ?」
「レンがいっしょにいてくれないと嫌なの、いつでも、どこでも」
「いっしょじゃないと、嫌なの」
リンは繰り返し呟いてひっそりと溜息を零と口を紡ぐ。
俺たちの間に漂う無言の空間。
耳が痛くなるような静寂を破ったのはオレだった。
「・・・いっしょにいるじゃん。リンがそう願わなくても、オレはいつもいっしょにいるじゃん」
次の台詞のために一つ呼吸をおき、大きく息を吸い込む。
「リンは何が不満なの?何を望んでるの、オレに」
一息に言いきったつもりが情けないことに最後の方は掠れてしまった。
リンは両方の目をゆっくりと大きく見開いていく。
聞いちゃいけないこと、言っちゃいけないことだっていうのはわかってた。
いつもみたいに黙ってリンの言うことにいちいち頷いて、リンが泣き疲れて(もしくは怒り疲れて)眠るのを待ってればよかったんだ。
そうすれば嵐は収まって束の間の平穏が訪れる。
束の間の、偽物の平穏。
この時に気付かない振りをしていれば、あんなことにはならなかったのに。
オレたちは少しずつ歪んでいく日常に毒されながら、それでも許されない間違いだけは犯さずに生き延びれたかもしれないのに。
だけど、オレは聞いてしまった。
「リンは何を望んでるの」
オレたちの罪はここから始まる。
PR
COMMENTS
この記事にコメントする

