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女性向け二次創作小説置き場。 初回【About】必読です。 
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ルカリンルカ(リンレンリン前提)/シリアス/シリーズもの

罪を抱く子供 /2/







甘いものはスキ、友達とのおしゃべりもメールもスキ。
スキなものはたくさんたくさんある。

だけど、その中でレンだけは特別。
あたしたち、生まれた時からずっと一緒なの。
レンが嬉しいとあたしも嬉しい。
レンが悲しいとあたしも悲しい。
あたしとレンはふたりでひとつ。
一秒だって離れていたくない。




焼却炉から煙が立ち上る。
一直線に天に向かって伸びる煙はいっそ潔かった。
この中でごうごうと燃える手紙に対するあたしの罪悪感を昇華していくみたい。
届かなかった手紙、届かなかった想い。

だってあの子が悪いんだもん。
『これ、レンくんに渡してもらえない?』
差し出された手紙、眩暈がした。
あたしはあの子に何て言っただろう。
当たり障りのない感じで受け取ってあげた気がする。




あたしたち死ぬまで一緒なの。
レンは誰にも渡さない。
絶対に、渡さない。





今日はレッスンの日だったのに、急いで帰ろうと思ったら違うクラスの女の子にあたしだけ「ちょっと」と呼ばれた。
その子がちらちらと目線をレンに向けていたから事情を察してレンには先に帰ってもらう。
案の定、話の内容はいつものラブレター運搬係。
笑顔で受け取った手紙を学校の裏の焼却炉で灰にしていたら、いつの間にか5時を過ぎていて、あたしは慌てて校舎を出た。
駆ける衝動で肩からずり落ちそうになるバッグをしっかりと掴んで校門を走り抜けようとすると急に腕を掴まれて前につんのめる。
驚いて振り向くとそこに居たのはルカさんで。
「リンちゃんやっと出て来た」
にこりと笑った顔は相変わらずとてもきれいで女のあたしでも少しときめく。
「え、え?なんでルカさん?どうしたの?」
なんて言っている間にも帰宅する生徒がちらちらと視線を寄越しながら次々と門を通っていく。
顔を上げると校舎の窓からも興味津津にこっちを見詰める顔がちら ほらと見えた。
この芸能学校に入学した頃はあたしもかなりちやほやされてたけど、最近じゃもうみんな慣れたみたいでこんな扱いは受けない。
だけど、超大型新人と称されてるルカさんがくるとやっぱりみんな(特に男子!)浮足立つみたい。
「もう!ここじゃ目立っちゃう。ルカさん帰りながら話そう」
微笑を浮かべたルカさんを引っ張って歩きだそうとすると
「あら、今日は私が送っていくわ」
逆に手を引っ張られてよろける。
向かう先へ目をやるとそこには確かにルカさんの派手なスポーツカーが停められていた。
「どうぞ」
車のドアを開けられて座るように促される。
「わーい!ラッキー!今日レッスンに遅刻しそうだったんだ」
ぴょんと飛び乗るとルカさんが目を細めた。
その曖昧な表情の先が読めなくて少しだけ不安になるけど、運転席に座ったルカさんが
「レッスンだったの。折角だし、お茶にでも誘おうと思ったんだけど」
そう言ってすぐに意識はそっちに奪われる。
胃のあたりがきゅうって痛くなって空腹を思い出した。
携帯を取り出して時間を確認する。まだ大丈夫、かな。
最近自分に甘いなぁとかまたレンに怒られちゃうなぁとか思いながらもあたしは頷いてみせた。
「あ、大丈夫ダイジョーブ!」

ルカさんに連れられていった先はとてもおしゃれで高そうなカフェ。
あたしみたいな子供が入れる感じじゃとてもなくて、でもルカさんがドアの前に立つとお店の人がさっと扉を開けた。
「いらっしゃいませ、巡音様」
やっぱりルカさんは売れっ子だ。
あたしとレンもそれなりに人気はあるけど、それはやっぱり子供の人気で。
ルカさんはそんなのじゃなくて、何て言うか“ちゃんとした”人気、な気がする。

お店の中は静かで暗くて大人な雰囲気。
まるでルカさん自身みたいなお店。
案内されたのは人気の少ない二階の窓際の席。
下を覗き込んだら街中を忙しなく歩く大人たちが見えた。

「気に入ってもらえた?」
細かい細工の施された背を引いてルカさんが椅子を進めてくれる。
あたしはお姫様になった気分で制服のスカートが皺にならないように広げながらそっと腰を下ろす。
「うん、とっても。マスターにもこんな素敵なお店連れてきてもらったことないもん」
ルカさんは向かいの椅子に座りながらまたあの不思議な笑顔を浮かべる。

お店の人がメニューを持ってきてくれてテーブルの上に広げる。
ルカさんの細い指がメニューの文字をなぞる。
ピンクベージュに塗られた爪が、シックな文字で書かれたガト―ショコラ、チーズケーキ、クリームブリュレの上をゆっくりと移っていく。
「何にする?」
その所作に見惚れていたあたしにルカさんが問いかける。
あたしは慌てて我に返って目を瞬いた。
「え、あ、えーと、じゃあガト―ショコラ!」
どもりながら答えるとルカさんはくすくすと笑ってスタッフさんを呼んだ。
「じゃあ、私も同じものを」

運ばれてきた二つのガト―ショコラ、お互いの前にはそれぞれコーヒーとホットミルク。
「いただきます!」
華奢なフォークを取ってケーキに差し入れる。
小さな一口を頬張るとびっくりするぐらいおいしくて。

おいしいと言おうとした瞬間に、震える携帯電話。
表示を見るとレンからのメールだった。
ルカさんに「ごめんなさい」と断ってからメールを返して携帯をテーブルに置く。
顔を上げると、ルカさんはまた曖昧な表情で目を細めていた。
「レンくん?」
少し小首を傾げるみたいにして聞かれた問いに頷くと逆に問い返した。
「どうしてわかったの?」
ルカさんは砂糖を入れただけのコーヒーにスプーンをつけてくるくると回しながら「そうねぇ」と笑う。
ルカさんの目はあたしじゃなく、カフェの下の雑踏に向けられている。
くるくる、くるくる。スプーンが幾周もの円を描く。
静かに波立つコーヒーの表面。
覗き込めばあたしの顔が映りそう。

「リンちゃんとレンくんって、なんだか変よね」
ルカさんはあたしの方を見ないまま唐突にするりと言った。
一瞬言葉の意味が理解できなくて「え?」と返す。
ルカさんがもう一度繰り返す。
「あなた達ってなんだか、変。あんな風な顔をしてメールを返すなんて、恋人同士みたい」
心臓が激しく脈打ち始めた。眩暈がする。
それでもなんとか目を見開いたまま笑ってみせた。
「なに言ってんの、ルカさんってば!あたしとレンは姉弟だよ?」
「そうかしら?リンちゃん、あなたホントはレンくんとキスとかハグとかそれ以上のコト、とかしたいんじゃないの?」
ルカさんはコーヒーのカップを持ち上げてゆっくりと口を付ける。
すっと細められた目はあたしを見たままで。
ソーサーにおかれたカップがカチャンと音を立てた。
「やっぱり変よ、あなたたち」

その瞬間何かがあたしの中でぷつんと切れて、気が付いたらあたしは飲みかけの紅茶をルカさんに向けてぶちまけていた。
ひりついた喉から声を絞り出す。
「お前に、なにがわかる・・・!!」
吐き捨てた言葉は狭い店の中に反響して、何重にもなってあたしの耳に届いた。
心配そうな顔をしたお店の人がゆっくりとこちらに近づいてくるのが見えた瞬間、あたしは弾かれたように席を立った。
ひっくり返った椅子がまた大きな音を立てる。
ルカさんを見降ろすと、眉一つ動かさずに小さなバッグからきれいに畳まれたハンカチをゆっくりと取り出して濡れた服を拭っていた。

どこか遠い世界であたしじゃない誰かの身に起こっていることみたいだ。
体全体がぼわんぼわんと激しく揺れている。
怒りなのか羞恥なのか、それとももっと別のものなのか。
わからないけど激しい感情が体中を駆け巡る。

ルカさんが顔を上げた。
艶々と輝く唇が言葉を発するために開かれた。
その動きがやけにスローモーションで視界に入る。
ルカさんの声が耳に届く前に、あたしは咄嗟に鞄を掴んで走り出した。
お店の人が何か言おうと伸ばした手を擦りぬけて階段を駆け降りる。
エントランスを抜けると後ろも振り向かずにとにかく走った。





静かな店内に響く品の良いジャズの音がいつまでも耳にこびりついていた。

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オタクです、貴腐人です、レイヤーです。
脳内に滾る妄想(主にレンきゅんの痴態^^)をどう処理したらいいのかわかりません。
上部リンクにTwitterアリ。生存確認はこちらでお願いします。
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